1.依頼がすべてのはじまり
弁護士に依頼するとき
弁護士に依頼したら安心して何もしなくてもいいと思っている人が多々みられます。
「お金払うんだから全部やってくれてあたりまえだよ」
いえいえ、それは、大きな間違いです。
あくまでも主役である”当事者”は「あなた!」で、弁護士は”代理人”なのです。
あなたは、お金を払って弁護士の”法律知識・知恵”を買ったのです。それをどのように使うかはあなたの仕事です。
ですから、依頼した後は弁護士と打ち合わせをしながら、進めていかなければなりません。
依頼者が何も考えずに
「先生にお任せします」
と言って全く事件に関与せずにいて、結果が自分の意図するものでなく、後になって弁護士と依頼者との間でトラブルが起こることがあります。
「弁護士は依頼者のために」活動することは確かです。
しかし、いくら有能な弁護士でも依頼者が何をん考えているかは、言ってもらわないとわかりませんし、いくら依頼者のためといっても違法なことはできません。
「自分は何も言わなくてもどういう結果が一番いいのかわかるだろう。」
それも大きな間違いです。あなたがいいと思っている結果が必ずしもよいものとは限りません。
すべて任せきりにするなら、どのような結果になっても不満を言ってはいけません。
それがいやなら”すべて任せる”などしないことです。
2.禁句-”先生にお任せします”
この事例で、最初に「?」と思うことは、
「同じ依頼をしているのに、5万円と90万円の差は何?」
ということでしょう。
この金額の差からすると、
甲弁護士はBさんに対し、内容証明郵便による督促をするのみ
乙弁護士はBさんに対し、貸金返還請求の訴訟を提起し、判決を取得するまでを受任したのでしょう。
おそらくこの受任の範囲については両弁護士ともAさんに説明したでしょう。しかし、Aさんは
「聞いてもよくわからない」
と思いこみ、弁護士に質問することもなくただ、”安価でやってくれる”ということだけで甲弁護士に依頼したのです。
その結果、甲弁護士は依頼通りの仕事をして終わりました。しかし、Aさんの目的は何一つ達成されていません。
このようなことを防ぐためには、まず、
- 最終目的をしっかりと弁護士に告げる
- その目的が達成されるにはどのような手続が必要かを理解できるまで質問する
- 弁護士が受任してくれるのはどの手続までか、自分自身でしなければならないことはあるのか、それはどのような手続か
について、しっかり理解できるまで、弁護士に聞くことです。
3.依頼の範囲をしっかり把握しましょう。
まずは、実際にあった件をモデルに事例を・・・
AさんはBさんに500万円貸したが、返済日を過ぎて何度督促しても返してもらえません。そこで、Aさんは弁護士に相談に行きました。
Aさんの目的は
「Bさんから500万円を返してもらうこと」
です。
Aさんは弁護士の費用をできるだけ安くしてもらえる弁護士に頼みたいと思いました。
そこで、Aさんは甲弁護士と乙弁護士を訪ねました。
甲弁護士に事情を説明すると、あっさりと説明を受け、何もわからないうちに
”5万円と実費”
で引き受けてくれるとのことでした。
乙弁護士は、いろいろ詳しく話をしてくれるのですが、Aさんはよくわかりませんでした。でも、聞き返すのは失礼かと思い、また
「わたしの気持はわかってくれている」
と思い何も聞くことをしませんでした。そうすると、乙弁護士は
”受任の時に30万円、事件終了の時に60万円の計90万円と実費”
で引き受けるとのことでした。
そこで、Aさんは迷わず、安価でやってくれる甲弁護士に依頼することにしました。